自分やほかの研究者の意見を紹介する際に、argue・claim・assertがよく使われます。
いずれも日本語では「主張する」と訳せますが、主張の組み立て方や書き手の確信、引用する側の距離感が異なっています。

argueは理由や証拠を使って論じること、claimは正しいとして提示された見解、assertは強い確信をもって言い切ること。

今回は、argue・claim・assertの違いと、アカデミックライティングで使う際の注意点を例文付きで解説します。
argue・claim・assertの違い
「show・indicate・demonstrate」の基本的な違いを整理すると、次のようになります。
| 単語 | 基本的な意味 | アカデミックなニュアンス |
|---|---|---|
| argue | 理由や証拠を挙げて論じる | 根拠を伴う議論や立場を示す |
| claim | ある内容を事実・正しいものとして述べる | 主張に距離や疑問を残す場合がある |
| assert | 意見や事実を強く言い切る | 書き手の強い確信や断定を表す |
同じ内容でも、使う動詞によって読者が受ける印象は変わります。
Smith argues that economic inequality reduces social mobility.
スミスは、経済格差が社会的流動性を低下させると論じている。
Smith claims that economic inequality reduces social mobility.
スミスは、経済格差が社会的流動性を低下させると主張している。
Smith asserts that economic inequality reduces social mobility.
スミスは、経済格差が社会的流動性を低下させると強く主張している。
arguesでは、スミスが根拠を示しながら議論を展開している印象があります。
claimsには、引用者がその主張を全面的には受け入れていない可能性があります。
assertsは、スミスが強い確信をもって言い切っていることを伝えます。
argueの意味と使い方
argueは日常会話では「口論する」という意味でも使われますが、アカデミック英語では、理由や証拠を提示して、ある立場が妥当であると論じることを表します。
The author argues that access to education should be treated as a fundamental right.
著者は、教育を受ける機会は基本的権利として扱われるべきだと論じている。
この文は、著者が単に意見を述べただけでなく、その立場を支える理由や証拠を示していることを伝えます。
そのため、論文の中心的な見解や、複数の段落にわたって展開される議論を紹介する際に適しています。
This essay argues that public transportation plays a central role in reducing urban inequality.
本稿では、公共交通機関が都市の格差を縮小するうえで中心的な役割を果たすと論じる。
argueの主な文型
- argue that ~:~であると論じる
- argue for ~:~を支持する論拠を述べる
- argue against ~:~に反対する論拠を述べる
- argue in favor of ~:~に賛成する立場を論じる
Several researchers argue against the unrestricted use of facial recognition technology.
複数の研究者が、顔認証技術を無制限に使用することに反対する論拠を述べている。
argueを使っただけで主張に十分な根拠が生まれるわけではありません。

自分の立場に使う場合は、引用、データ、具体例、論理的な説明によって内容を裏付ける必要があります。
claimの意味と使い方
claimは、ある内容を事実または正しいものとして述べることを表します。
ただし、その内容が証明されていない場合や、ほかの人が疑っている場合にも使われます。
The company claims that its new policy will reduce carbon emissions.
その企業は、新しい方針によって二酸化炭素排出量が減少すると主張している。
この文では、企業がそう述べていることは伝えていますが、その内容が事実であると書き手が保証しているわけではありません。
アカデミックライティングで他者の考えを紹介するとき、claimは主張との距離を示すことがあります。
そのため、中立的に内容を紹介したいだけなら、states、reports、notesなどが適している場合もあります。
Jones claims that the reform was successful, but provides little evidence to support this conclusion.
ジョーンズはその改革が成功したと主張しているが、この結論を裏付ける証拠をほとんど示していない。
この例では、claimを使うことで、引用者がジョーンズの見解に疑問を持っていることが自然に伝わります。
ただし、claimが常に「疑わしい主張」を意味するわけではありません。論文では、検討や立証の対象となる命題をa claimと呼ぶこともあります。
This claim is supported by evidence from three longitudinal studies.
この主張は、3件の縦断研究による証拠で裏付けられている。
claimの主な文型と表現
- claim that ~:~であると主張する
- claim to be ~:~であると主張する
- make a claim:主張を提示する
- support a claim:主張を裏付ける
- challenge a claim:主張に異議を唱える
The researchers claim to have identified a new pattern of migration.
研究者らは、新しい移住のパターンを特定したと主張している。
assertの意味と使い方
assertは、意見や事実を強い確信をもって、はっきり言い切ることを表します。
argueのように理由や証拠を展開することよりも、発言の力強さや断定性に重点があります。
The author asserts that existing regulations are inadequate.
著者は、既存の規制は不十分であると強く主張している。
assertを使うと、その人物が自分の立場を明確に示し、簡単には譲らない印象が加わります。
The government continues to assert that the policy is necessary for national security.
政府は、その政策が国家安全保障のために必要だと引き続き強く主張している。
assertは強い表現ですが、主張が証明されていることまでは意味しません。十分な証拠がなくても、話者が強く言い切っていればassertを使えます。
そのため、他者の意見をassertで紹介すると、その主張が強い断定であることに注意を向ける効果があります。

文脈によっては「根拠を十分に示さず言い張っている」という批判的な含みが生まれることもありますね。
assert・assertionを使った表現
- assert that ~:~であると強く主張する
- assert the importance of ~:~の重要性を強調して主張する
- make an assertion:断定的な主張をする
- an unsupported assertion:根拠のない断定
The report asserts the importance of protecting academic freedom.
その報告書は、学問の自由を守る重要性を強く主張している。
The statement remains an unsupported assertion rather than a well-developed argument.
その発言は、十分に組み立てられた議論ではなく、根拠のない断定にとどまっている。
引用で使うときの注意点は?
argue・claim・assertは、論文や資料の内容を紹介するreporting verbsです。
どの動詞を選ぶかによって、引用元と自分の距離や評価も伝わります。
- argue:根拠を伴う一つの立場として紹介する
- claim:真偽や妥当性を検討する必要がある主張として扱う
- assert:強く断定された意見として紹介する
原文では慎重に可能性を述べているだけなのにassertを使うと、著者の意見を実際より強く伝えてしまいます。

表現を増やすためだけに動詞を入れ替えるのではなく、原文の立場や根拠の示し方に合うものを選びましょう。
まとめ:argue・claim・assertは主張の性質が違う!
argue・claim・assertはいずれも「主張する」と訳せますが、主張の性質が異なります。
argueは理由や証拠を使って一つの立場を論じること、claimは正しいものとして提示された主張で、文脈によっては引用者の疑問や距離を示すこと、assertは強い確信をもってはっきり言い切ることを表します。
引用元の内容を正確に伝えるには、主張の強さだけでなく、根拠の有無や自分の立場も考えて動詞を選ぶと良いでしょう。


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