「来週の授業までに、教科書のチャプター1から3を読んでおいてください」
海外の大学やカレッジに留学すると、大量のリーディング課題を出されることがあります。

1つの授業だけなら何とか対応できても、複数の科目で教科書や論文を読まなければならなくなると、
「辞書を引きながら読んでいたら全然終わらない」
「時間をかけて読んだのに、内容が頭に残っていない」
と悩んでしまう留学生も少なくありません。
そこで重要になるのが、英文を一語一句理解しようとするのではなく、目的に合わせて読み方を変えることです。
特に覚えておきたいのが「スキミング」と「スキャニング」。さらに、英語論文や教科書の構造を理解しておけば、大量の英文から重要な情報を効率よく拾えるようになります。

今回は、留学先の授業で役立つアカデミックリーディングの基本から、渡航前にできるトレーニング方法まで詳しく解説します。
留学先ではなぜ大量のリーディングが必要になる?
海外の大学では、授業に出席して教授の講義を聞くだけで学習が完結するとは限りません。
授業前に指定された教科書や論文を読み、その内容を理解していることを前提としてディスカッションが行われるケースもあります。
つまり、リーディング課題は単なる「宿題」ではなく、授業に参加するための準備でもあるのです。
そのため、すべての英文を完璧に日本語へ訳すことより、
- 筆者の主張は何か
- 重要な根拠は何か
- 授業のテーマとどう関係するのか
- 自分はその意見についてどう考えるのか
といったポイントをつかむことが重要になります。
真面目な留学生ほど陥りやすい「読み方」の3つの罠
日本で英文を丁寧に読むことに慣れている人ほど、留学先で大量のリーディング課題を前にすると苦戦することがあります。
まずは、時間がかかりやすい読み方を確認しておきましょう。
最初から最後まで全部読もうとする
最初の単語から最後の単語まで、すべて同じ集中力で読む必要があるとは限りません。
教科書や論文には、筆者の主張など特に重要な部分もあれば、具体例や補足説明など必要に応じて確認すればよい部分もあります。
まず全体像を把握してから、重要なところだけ丁寧に読むというメリハリをつけることが大切です。
頭の中ですべて日本語に訳す
英文を読むたびに、
「英語を読む→日本語の語順に直す→自然な日本語に訳す」
という作業をしていると、大量の英文を読むには時間がかかります。
例えば、
(多くの留学生は、最初の学期にアカデミックリーディングで苦労します。)
という英文なら、「Many international students=多くの留学生」「struggle with=~に苦労する」と前から意味を取っていくイメージです。
日本語として美しく翻訳することを目的にせず、英語の語順のまま意味をつかむ練習をしていきましょう。
分からない単語をすべて辞書で調べる
知らない単語が出てくるたびに辞書を開いていると、読む流れが何度も止まってしまいます。
まずは前後の文章から意味を推測し、分からなくても全体の理解に影響しない単語なら、そのまま読み進めて構いません。
一方で、
- 何度も登場する単語
- その文章のテーマとなる専門用語
- 意味が分からないと筆者の主張を理解できない単語
などは調べる価値があります。
「知らない単語=すべて調べる」ではなく、理解に必要かどうかで判断するのがポイントです。
スキミングとスキャニングを使い分けよう
大量の英語文献を読むときに覚えておきたいのが、「Skimming(スキミング)」と「Scanning(スキャニング)」です。
| 読み方 | 目的 | チェックするポイント |
|---|---|---|
| Skimming | 文章全体の概要をつかむ | タイトル・見出し・各段落の要点・図表など |
| Scanning | 必要な情報を探す | 人名・数字・年号・専門用語・キーワードなど |
| 精読 | 重要部分を正確に理解する | 主張・定義・重要な根拠・課題に必要な箇所など |

この3つを目的に合わせて使い分けることが重要ですね。
スキミング(Skimming)で全体像をつかむ
スキミングとは、文章を素早く読んで全体の概要をつかむ方法です。
いきなり本文を読み始めるのではなく、タイトル→見出し→太字→図表→各段落の重要そうな文という順番で確認します。
英語のアカデミックな文章では、段落の中心となる内容がTopic Sentence(トピックセンテンス)として段落の前半に置かれることも多いため、まずそこに注目すると効率的です。
「この文章では何が議論されているのか」を把握するのがスキミングの目的なので、この段階ですべてを理解する必要はありません。
スキャニング(Scanning)で必要な情報を探す
スキャニングは、特定の情報だけを文章の中から探し出す読み方です。
例えば、「この研究は何年に行われたのか」「筆者はSNSの影響について何と述べているのか」といった質問に答える場合、文章全体を最初から読む必要はありません。
「2018」「social media」「effect」といった関連する数字やキーワードを探し、その周辺を詳しく読みます。
課題の質問があらかじめ提示されている場合は、先に質問を読んでから本文をスキャニングするのも効率的です。
英語論文・教科書の「型」を理解する
英語のアカデミックな文章には、ある程度決まった構成があります。
特に研究論文を読む場合、必ずしも1ページ目から順番に読む必要はありません。
Abstract(要旨)
Abstractには、研究の目的・方法・主な結果・結論などが簡潔にまとめられています。
まずここを読み、「自分の課題や授業に関係する論文なのか」を判断しましょう。
Conclusion(結論)
次にConclusionを確認すると、研究を通じて筆者がどのような結論に至ったのかを把握できます。
AbstractとConclusionを先に読むことで、論文全体の方向性を理解しやすくなります。
Introduction(導入)
Introductionでは、研究テーマの背景や問題意識、研究目的などが説明されます。
「なぜこの研究が必要なのか」を理解したい場合に重要な部分です。
本文・Results・Discussionなど
その後、必要に応じて本文へ進みます。
研究論文の場合はMethod、Results、Discussionなどに分かれていることもあります。
すべて同じように読むのではなく、自分が知りたい情報に合わせて読む部分を選ぶのがポイントです。
例えば研究結果について議論する授業ならResultsやDiscussionが重要ですが、研究方法を比較する課題ならMethodも詳しく確認する必要があります。
「読む前・読む・読んだ後」の3段階に分けると効率的
大量の英文を読むときは、次のように3段階に分けると整理しやすくなります。
①読む前
タイトル・見出し・図表などを確認して、「何について書かれていそうか」を予測します。
②読む
スキミングで全体を確認した後、授業や課題に必要な部分をスキャニング・精読します。
③読んだ後
読み終わったら、
- 筆者の主張
- 重要な根拠
- 分からなかった点
- 授業で発言できそうな自分の意見
を簡単にメモしておきましょう。
英文を読むだけで終わらせず、「授業で何を話すか」まで準備することで、リーディング課題を授業参加につなげられます。
渡航前にできるアカデミックリーディングの練習方法
リーディング技術は、方法を知るだけでなく実際に使って練習することが大切です。
留学前から少しずつトレーニングしておきましょう。
時間制限を設けて読む
英語のニュース記事や興味のある分野の記事を読むときに、「この記事は5分で概要をつかむ」など時間制限を設けます。
時間を決めることで、一語一句訳すのではなく重要な情報を探しながら読む習慣が身につきます。
最初から無理に速く読む必要はありません。10分→8分→5分のように、徐々に時間を短くしていくのがおすすめです。
知らない単語をすぐに調べない
分からない単語を見つけても、まずは前後の文脈から意味を予想してみましょう。
品詞や接頭辞・接尾辞などもヒントになります。
最後まで読んだ後に重要な単語だけ辞書で確認すると、「辞書なしで読む力」を鍛えられます。
英文を1~2文で要約する
記事を読み終えたら、「結局、何について書かれていたのか」を英語または日本語で1~2文にまとめてみましょう。
速く読めても内容を理解できていなければ意味がありません。要約する習慣をつけることで、文章の主張と重要な情報を見抜く力も身につきます。
まとめ|留学先のリーディングは「全部読む」より「必要な情報を見つける」
留学先で大量の英語文献を読むためには、一語一句を日本語に訳す読み方から、目的に合わせて必要な情報を取り出す読み方へ切り替えることが重要です。
文章全体を把握するならスキミング、特定の情報を探すならスキャニング、重要な部分は精読する。
この3つを使い分ければ、限られた時間の中でも効率よくリーディング課題を進められます。
さらに、論文や教科書の構造を理解し、「読む前→読む→読んだ後」という流れを習慣にすれば、単に英文を処理するだけでなく、授業のディスカッションやレポートにもつなげやすくなります。

留学前から英語の記事やアカデミックな文章を使って練習し、「すべて理解しなければならない」という読み方から卒業することが、留学先で大量の課題を乗り越える第一歩です。


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